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AIが進化するほど、なぜ「変わりにくいもの」の価値が高まるのか?

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白黒の未来都市をつなぐカラーネットワークとビットコインのシンボル

「振り返ってみれば、2026年が最後の普通の年と見なされるだろう」

AIの急速な進化をめぐって、こんな予測が話題になっています。

元Anthropic研究者のジェイコブ・コクソンも、社内の研究責任者たちが2027年を大きな転換点と考えていたことを明かしました。

背景にあるのが、AIの再帰的自己改善(RSI)です。

これは、AIが自分自身の研究や開発を行い、改良されたAIがさらに次の改良を進めるという仕組みです。

実現すれば、技術の進歩が人間の研究能力だけに制約されなくなる可能性があります。

もちろん、これが2027年に実現するとは限りません。すでに限定的な自己改善の実験は成功していますが、人間の関与なしに際限なく能力を高め続けるAIが実現したわけではないからです。

ただし、僕が気になっているのは、予測が当たるかどうかだけではありません。

技術の進化が加速していく一方で、人間社会は同じ速度で変わることができるのだろうか。

技術は速く進化する。しかし、社会の合意には時間がかかる

AIの開発では、企業間の競争が進歩を加速させています。

一方で、政府が新しい規制を作るには、議論や調整が必要です。国際的なルールともなれば、利害の異なる国々の合意を得なければなりません。

しかも、一つの企業だけが安全のために開発を止めても、別の企業が開発を続ければ、競争そのものは止まりません。

実際、Anthropicは2026年6月、主要なAI開発企業が協調して開発を一時停止する仕組みの必要性を訴えています。

ここには、技術だけでは解決できない問題があります。

それぞれの企業が合理的に行動していても、社会全体にとって望ましくない結果が生まれる可能性があるのです。

しかし、社会の意思決定が遅いことは、必ずしも欠点なのでしょうか。

僕は、そうとも言い切れないと思います。

簡単には変えられないことの価値

ここで思い浮かぶのが、ビットコインです。

ビットコインは、技術的には改良を続けています。しかし、通貨としての根幹に関わるルールを変更することは簡単ではありません。

優秀な開発者が新しいコードを書いたからといって、世界中の利用者がその変更を受け入れるわけではないからです。

変更には議論が必要であり、参加者には自分が受け入れるルールを選ぶ余地があります。

この仕組みは、技術革新の速度だけを考えれば、非効率に見えるかもしれません。

しかし、お金のルールが誰かの判断で突然変わってしまうとしたら、僕たちは安心して財産を持てるでしょうか。

ビットコインにとって、簡単には変わらないこと自体が、一つの重要な価値になっています。

もちろん、変化を拒み続ければ、新たな脅威への対応が遅れる危険もあるでしょう。だから、変わらないことが常に正しいわけではありません。

重要なのは、変化の速さだけでなく、誰が、どのような手続きでルールを変えられるのかということです。

AIが自分自身を改良する時代が本当に訪れれば、僕たちはこれまで以上に速い変化を経験するかもしれません。

しかし、あらゆるものが同じ速度で変わる必要はないはずです。

むしろ変化の激しい世界だからこそ、簡単には書き換えられない仕組みがより重要になる。

これから問われるのは、どこまで速く進化できるかだけではなく、何を簡単に変えてはいけないのか、ということなのかもしれません。

参考資料