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お金は盗まれなくても、使えなくなる

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白黒の未来都市をつなぐカラーネットワークとビットコインのシンボル

2026年10月、G7の財務当局が、AIを悪用したサイバー攻撃を想定する合同演習を行うことで合意しました。

銀行や金融市場が攻撃された場合、どう対応し、どう復旧するのか。日本の片山財務相が明らかにした計画です。

僕が興味を持ったのは、各国がそこまで警戒しているという事実だけではありません。

お金が一円も盗まれなくても、金融システムは危機に陥る可能性があるという点です。

残高があることと、使えることは違う

IMFの2026年10月の報告書によると、分析対象となった脆弱性の悪用事例の7割超で、ソフトウェアの欠陥が公表される前後には攻撃が始まり、修正する時間がほとんど残されていませんでした。

AIは攻撃する側だけでなく守る側の能力も高めます。それでも、攻撃と防御の速度が以前とは違う段階に入っていることは確かでしょう。

仮に銀行のシステムが一時的に停止したとします。

預金残高は変わらず、誰かに盗まれたわけでもない。それでも送金ができず、カード決済も止まれば、給料の支払いや商品の仕入れにまで影響が広がるかもしれません。

銀行が破綻していなくても人々は不安になります。

僕たちは「お金が安全か」を考えるとき、盗まれないことや銀行が倒産しないことに目を向けがちです。しかし、必要なときに使えることも、お金の重要な条件なのです。

支払う方法を一つにしない

現在の金融サービスは便利ですが、いくつもの銀行が同じ決済網や通信設備、外部のシステムに依存する場合があります。

銀行口座を三つ持っていても、その三つが同じところで止まるなら、別々の逃げ道を用意したことにはなりません。

そこで改めて考えたいのが、現金とビットコインの存在です。

現金は銀行のオンラインサービスや通信回線が止まっても、対面での支払いに使えます。ただし、遠くの相手にすぐ送ることはできません。

一方、ビットコインは銀行の決済網を通さず、国境を越えて送れます。銀行送金が止まっても、ビットコインのネットワークが動き、受け取る相手がいれば、別の送金経路になり得ます。

もちろんビットコインにもインターネットや電力が必要ですし、価格変動や秘密鍵の管理という課題があります。現状では受け取ってくれる相手も限られています。

また、取引所に預けたままでは取引所の障害にも左右されます。

だからビットコインが銀行や現金の完全な代わりになるわけではありません。

むしろ重要なのは、異なる弱点を持つ支払い方法を、同時に残しておくことだと思います。

普段は銀行が便利です。停電や通信障害では現金が役に立つ。そして銀行の決済網が使えなくても通信が生きている状況では、ビットコインが別の可能性を残します。

これまで僕たちは、どこにお金を預ければ安全なのかを考えてきました。

これからはもう一つ問いを持つ必要があるのかもしれません。

その仕組みが止まったとき、自分にはまだ支払う方法が残っているだろうか。

参考資料